4−2

仕事は同じかぶの生産でした朝七時頃から始めそれを
きれいに束ねて箱につめる。そこまでは今とあまり
変わらないのですが個撰出荷と言う形をとっていた為
午後七時過ぎに新宿の市場へトラックでかぶを
運搬していたので自宅へ戻るのはいつも十時過ぎでした。
その為友人から遊びの誘いを断る事も少なくなく
だんだん声もかからなくなっていき同年代の友人が
女の子を連れているのを見かける度に
出逢いさえないこの毎日の中で、いつか自分にも
彼女が出来る日が来るのだろうか、、、
そんな不安さえ募りました。そんなつまらない事って
鼻で笑う人もいるかもしれませんが
二十二歳の自分には結構大きな問題でした。

そしてそんなある日の事でした、共撰組合の木村さんに
出逢い、組合の事を知りいろいろ話を聞き父に相談
してみるものの反対されるのですが、その父の意見を
よそに反対をおしきって共撰組合に入る事を
決めたのです。その時父に出された条件がみんなと
同じ時間に起きる事でした。共撰組合に入ってから
朝が三時と早起きにはなりましたが、そのかわり夕方
五時頃には仕事が終わる様になりプライベートで
出かける事も少しずつ増え、結婚へとゴールイン
する事も出来ました。今思うとここからが自分の中で
気持ちが大きく変化し始めた様に思えます。
結婚してから妻が仕事を一緒に手伝だって
くれる様になり毎日の仕事が今までよりずっと
楽しく感じる様になりました。 
その後妊娠を期に仕事から妻が遠ざかりは
したもののこれから産まれてくる我が子の事を思うと
仕事へ対して責任が芽ばえ今までなかったやる気を
実感したのです。